CROSS TALK

ブランドの価値を
この手で創る。
責任以上の幸福に
満ちた仕事。

デザイナーの髙橋さんとパタンナーの田中さんは、それぞれが担当するブランドで服づくりの最前線の仕事を担っています。そんな若手クリエイターの二人が、デザイナーとパタンナーの関係性や仕事の魅力について語り合いました。

PROFILE

Shiori Takahashi

事業本部 ブルーレーベル・
クレストブリッジ ビジネス部 企画課
2015年入社
東京モード学園 高度専門士コース 卒

Kosuke Tanaka

事業本部 技術開発部
ポール・スチュアート、トランスワーク チーム
2020年入社
文化学園大学 ファッションクリエイション学科
インダストリアルテクニックコース 卒

ハイレベルなものづくりに
誇りを感じながら働く日々。

お二人が三陽商会を選んだ決め手は何だったのでしょう?

髙橋三陽商会ほど真摯にものづくりに向き合う会社は他にないと感じたことが決め手です。働くなかでもその姿勢は日々実感しますし、一緒にお仕事をするスタイリストの方など、社外の方から言われることもあります。生地の品質や縫製のレベルの高さなど、私たちにとっては当たり前になっている仕事も、社外の方から見たらそうではないようです。そこに誇りを感じます。田中さんはどうして三陽商会に入社を決めたのですか?

田中私は学生時代はデザイナーになるための勉強をしてきましたが、途中からパタンナーにも興味を抱くようになりました。三陽商会はパターンの技術力も優れていることをよく耳にしていたので、志望しました。実際、社内には優秀なパタンナーが数多く活躍していて、師匠と仰ぐパタンナーもいます。

担当しているお仕事の具体的内容を教えてください。

髙橋 「ブルーレーベル・クレストブリッジ」のチームには5名のデザイナーがいます。私は一番若手のデザイナーですが、デザイン以外にもグラフィック作成や素材開発、新企画の提案など、さまざまな仕事を任されています。華やかなイメージがあるかもしれませんが、地味で細かい作業も多く、その積み重ねでものづくりが完成します。主には布帛素材のアイテムやカットソーのデザインを担当していて、デザイン画はiPadで描くことが多いです。

田中私はウィメンズブランドの「ポール・スチュアート、トランスワーク」のチームでパタンナーを務めています。デザイナーが描いたデザインを洋服として形にするために3D CAD等を使ってパターンを起こしてトワルを組むことと、工場に縫製の指示を出すための仕様書を書くことが業務の中心です。私の個人的な感覚では、学生時代に学んだことが活かせるのは全体の1割程度で、ほとんどは業務を通じて学んでいます。技術は定量的に記録したり言葉で表すことが難しい世界なので、すぐに身につくものではありません。

デザイナーとパタンナー、
二人三脚で商品をカタチに。

服づくりの大まかな流れと、そのなかでデザイナーやパタンナーが果たす役割や関係性について教えてください。

髙橋まずはブランドのディレクターから次期シーズンのイメージやテーマが伝えられます。それをもとに、リアルクローズとしてどう落とし込むかをMDとデザイナーを中心に話し合います。デザイナーがデザイン画を描いて、企画チームで協議し「これで行こう」となったら、パターンや縫製についてモデリストに相談することになります。

田中モデリストはデザイナーとパタンナーの橋渡し役。はじめはモデリストを介してデザイナーとパタンナーがコミュニケーションを取りますが、実際にデザインが始まってからは担当者同士で会話しながら詳細を詰めていきます。そうしてパタンナーがパターンを起こし、トワルを組んでデザイナーとともに細かな部分の調整を重ねて、サンプルを作る。それをブランドチームみんなで確認し、ブラッシュアップを経て量産化するという流れですよね。

髙橋はい、私たちデザイナーがどんなに素敵なデザインを考えたとしても、それだけでは商品はつくれません。デザインからパターンをつくり、どう縫い合わせていくかまでを緻密に計算してカタチにしていくパタンナーの存在がなければ商品は生まれません。まさに二人三脚といった関係性です。

田中その通りですね。ブランドごとにターゲットや価格帯が異なるので、こだわるポイントも異なります。私が担当する「ポール スチュアート」は高価格帯のブランドなので求められる品質レベルが高く、それをクリアするものづくりが求められます。また、同じブランドチームのなかでもデザイナーによって個性があり、それがデザインにも表れます。パタンナーはそうした意図を汲みつつ、着心地や縫製の問題点を解決してカタチにする必要があるのです。

責任以上に、大きな喜びを
感じられる仕事。

どんな時に仕事のやりがいを実感しますか?

髙橋自分のデザインした商品にお客様が価値を見出してくださる時が、この上なく嬉しい瞬間です。商品に込めた私の思いやこだわりがお客様に伝わったと感じると、本当に幸せな気分になります。

田中高橋さんの仰る通りで、自分がパターンをつくった商品が店頭に並ぶ様子を見られることが、この仕事ならではの醍醐味です。販売スタッフのおかげもあり、社内より店頭で見た方がもっと素敵に見えるので、嬉しさが増しますよね。

髙橋はい。商品がヒットした時は最高に嬉しいですし、先日は私のデザインした商品が素敵だと言って絵を描いてくれた女の子がいることをSNSで発見しました。ブランドのデザインを担う責任は大きいですが、幸せを感じる出来事はそれ以上にたくさんあります。

そうしたやりがいを感じる一方で、改めて実感する使命や今後の目標とは?

髙橋軸をぶらさずに、トレンドを取り入れるなど常に新鮮な喜びを提供しながら、価値のあるブランドを築いていくことです。そのためには、感覚だけでなく理性的に思考することも大切だと思います。そのために販売実績を分析し、なぜ売れたのかを企画チームと話し合うなど、お客様の思いを想像して、その想いに応えるデザインすることを心がけています。デザイナーとして、たくさんの人に愛される商品とブランドをつくることが永遠の目標です。これからもパタンナーと力を合わせて、大きな夢に向かって進んでいけたらと思います。田中さんはいかがですか?

田中私は、デザイナーの感性や思いを信じてカタチにしていくために、技術面でサポートすることがパタンナーの使命だと感じています。デザイナーが思い描くシルエットを読み取れる力を養っていきたいです。また、技術を磨きながら、パタンナー発信の商品づくりにも挑戦してみたいです。新たな取り組みを通じて、お客様に新しい価値や発見を提供できたら最高ですね。